シンガポールの悲しい思い出③
※こちらの記事には、
障害を持った子どもの話が出てきます。
気にされる方はご遠慮ください。
これは今から15年ほど前、
私がシンガポールにいた時の話です。
シンガポールではたくさん習い事を掛け持ちしていた私は
毎日のように電車やバスで30分ほどかけて
色んな場所にレッスンを受けに行っていました。
そんなある日、
いつものように習い事先からバスで帰宅中、
うっかり寝過ごしてしまいました。
乗り換えるべきバス停を乗り過ごし、
気が付けば窓の外には
見たことのない景色が広がっていました。
すぐに、
結構遠くまで来ちゃったな・・・と悟りました。
ところが不思議と焦る気持ちはなく、
景色を楽しんでいる自分がいました。
というのも外に広がる景色は
ベージュや茶系の落ち着いた色味の
大きい一戸建てが多く、
のどかで、のんびりしている空気感が漂っていたからです。
高い建物もあまりなく、
中心地の高層ビルと雰囲気が全く違う。
夕方だったので、夕日の効果がまた
どこかノスタルジックな雰囲気を助長させ、
私の心を落ち着かせてくれました。
次のバス停が近づいてきた頃、
ふと、2-3人の制服を着た子どもたちが
歩いている姿が私の目に留まりました。
ダウン症の子どもたちでした。
私はこの時に初めて、
シンガポールに来てから一度も
ダウン症の子どもを見たことがなかったことに
気が付きました。
思い返すと中心地では、
ダウン症の子ども、
車いすユーザー、
ゆっくり信号を渡る高齢者。
そういう一般的には
「社会的弱者」と括られる人々を
目にする機会がなかったことに
気付いたのです。
つづく