シンガポールの悲しい思い出②酷い扱いを受けるナニー

これは今から15年ほど前、

私がシンガポールにいた時の話です。

ある週末の夜、

私は家族とお寿司屋さんに行きました。

カウンターの高級店ではなく、

ファミリー向けで座席数も多い、

賑やかなお寿司屋さん。

はじめは家族で食事を楽しんでいたのですが、

ふと、斜め前の席の家族が目に入りました。

パパとママと2-3歳くらいの男の子。

男の子の隣に座っているのが

ナニーだということも一目で分かりました。

ナニーが子どものお世話をすることは一般的なので、

特段驚かない光景です。

ただ、なんとなく

ナニーが委縮している気がしたんですよね。

男の子だけを見ているというか、

パパやママとは会話もなければ

目を合わせることもない。

「雇われている」

「力関係が存在している」感じがする

と言ったら良いのかな。

パパはすでに一人黙々とお食事を始めていました。

ママのお食事もテーブルに置いてあって、

最後に男の子のお食事が運ばれました。

次の瞬間、

ママが自分のご飯のうち、

いらない白米だけを

一つのお皿に入れました。

ゴミのように、

不機嫌そうに、

まるで棄てるかのように。

続いて、男の子のお食事からも

多すぎる白米だけを同じように

お皿に棄てるかのように移しました。

男の子の食事の分量調整はナニーがやらないんだ、

と思ったのですが、すぐ理由が分かりました。

このお皿にゴミのように集められた白米は、

ナニーのご飯だったんです。

ママはそのお皿を

「ほら食え」

と言わんばかりの置き方で

黙ってナニーの前に置きました。

置くというよりは、

投げ置くという表現の方がしっくり来るような感じで。

あの、お皿への移し方。表情。

「ほら食え」

と言わんばかりの態度で置くあの置き方。

私、すごく悲しくなってしまって。

人によっては、

「え?それだけで悲しい現実なんて言ってるの?」

「ご飯貰えるだけ良くない?」

「そういう契約なんじゃない?」

「家族と一緒に食べられるだけマシかも」

と思う世界もこの世には存在するとは思う。

それに私は

あの家族とナニーの契約内容は知らないし、

一銭も出していない。

完全なる部外者。

だから、何も言う権利はないのかもしれないし、

もしかしたら

レストランではあんな感じだったけれど、

家ではちゃんとみんなと同じご飯を食べているかもしれない。

だから本当にあの時に見た事実と

憶測で判断して申し訳ないけど・・・・

色々考えてしまったんですよね。

「あのママ、心ないのかな?」

「もし自分の子どもがあんな対応をされていたらどう思うかな?」

「ナニーはまだ若そうだけど、親元離れて頑張ってるのかも」

「故郷の家族に仕送りするために頑張っているのかな」

とか。

あの家族からしたら、

何もしないなら口を出すな。

関係ないんだから勝手な憶測をしなきゃいい。

余計なお世話。

そう言われても仕方ない。

なんだけど、、、

すごく悲しい食事になりました。

私はあの時何を食べたのか。。

全く覚えていません。

覚えているのは、

私とあのファミリーだけを切り取った写真のような

一コマと、

あのナニーの表情だけ。

彼女は今、どうしてるかな。

元気に楽しく過ごしているといいな。

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